いつもの人外とは一味違う!
BL界では今、人外作品がとってもアツい!! 特にオオカミ男やヴァンパイア、ゾンビといった、海外由来の人外キャラがここ1~2年でかなり増えたと感じております。
ヴァンパイアやゾンビと聞いて映画を思い起こす方もいらっしゃるかと思いますが、実際そういったキャラが登場する作品はさながら洋画のような空気を纏っていて、読後に「なんだかスゴイものを読んでしまった……」と放心状態に陥ることもしばしば。今回はそんな海外由来の人外キャラにスポットを当てた8作品をご紹介! 和の人外と何が違うのか、比較しながら読むのもアリかと思います♪
鹿島こたる先生の美しすぎる作画を見ているだけで至福! そんな本作は、洋モノ人外の王道=ヴァンパイア、それも由緒正しきルーマニアのツェペシュ公弟ラドゥが主人公です。本来血という精を「奪う」吸血鬼が、本作では純朴童貞のハーフ淫魔・マモルに自らの体と精気を「与え」、使い魔契約を結ぶという設定がユニークで、美しきラドゥと細身美少年マモルのエッチシーンは、華がありすぎる……!
また、ラドゥの日本滞在理由が「マンガ文化にドはまりしたから!」だったり、マモルの仕事がラドゥの代わりにコミケに行くことだったり、ラドゥの命を狙うヴァンパイアハンターがマンガ好きを通じて意気投合しちゃったりと、日本のマンガの偉大さを感じる(?)設定がとっても愉快。しかし終盤では、真剣に愛を伝えるマモルに対し、何人もの恋人を看取ってきたラドゥが愛に臆病な姿を見せるのが切なく、もう誰も失いたくないという心の痛みが胸に迫りました……!
さきしたせんむ先生が挑む初のファンタジー! 500歳を超えながらおとぼけで天然で泣き虫な美吸血鬼ミハイルが、息子として慈しみ育てたヨハンに愛され迫られ押し切られるコミカルなラブストーリーです。
パパと呼ばれたいミハイルですが、ヨハンの愛は股間も反応する恋愛感情。ぐいぐい俺様態度で迫ってはミハイルのきれいな泣き顔にほだされ、時にはデレて花を贈ってみたり……。2人のズレた掛け合いの面白さがたまりません。全編に笑いがいっぱいなのに根底に切なさが漂うのは、不死者と命限りある者との物語ならでは。シリアスなクライマックスではミハイルの「ひとりにしないで」が胸に刺さります。ロマンチックな物語で、さきしたせんむ作品にしては変態度が低い? と思いきや……ご安心ください、出てきますよ後半にド変態キャラが!(笑)ヨハンが積年の想いと若い欲情をぶつけまくる描きおろしのHシーンは三ツ星級のエロさです♡
変異体に噛まれることで感染し、人が次々とゾンビへ変わっていく……そんな絶望しかない世界と、そこにある愛を確かな画力で描いた本作。これがデビュー作だなんて誰が信じられるでしょうか……! おどろおどろしい画面から、少しずつこの世界の状況が分かってくる緊張感がたまりません!
家族を失ったウィリアムは、自分を犯したアダムと共に東を目指します。ライナスとコナーは他人の墓を掘り返してでも生き延びようとします。誰もが極限状態の中で、愛すべき最悪な相棒を拠り所としてしまう彼ら。ゾンビと化した者、ゾンビとなりゆく者……それでも彼らを愛し、互いを抱きしめて眠り、今日を生き抜く登場人物たちに胸打たれます。相互に絡み合う3つの短編によって構成されていますが、それぞれのお話は濃厚! 孤独に兄を待つローレンスに出会ったレイモンドの物語まで読み切った時、いかに完成された一冊か気付かされます。一味違うBL漫画を読みたい時にオススメです!!
「吸精鬼と情夫」VS「狩猟クラブ」の人外サバイバルホラーここに開幕! インパクト大の表紙をめくると……わぁ、ここは美術館ですか? ニシンマスミ先生の美麗な作画、海外を舞台にした耽美的な世界観がしばし日常を忘れさせてくれる一冊。
カルト教団「狩猟クラブ」に追われる吸精鬼・ナルコと、その情夫・マヌエル。 両視点で描かれる物語は、見方を変えれば善と悪が簡単に入れ替わる。そんな”倫理観”さえも揺らぐ世界で、ナルコとマヌエルの命を懸けた愛だけが圧倒的。美しくも恐ろしいナルコと、自身に制約を課すマヌエル。2人の出会い、過去が明かされていくにつれ感情移入は急上昇待ったなし!
凌辱・暴力・カニバリズム……と、たっぷり禁忌を詰め込んだ作品でありながら、映画を観ているようなストーリーは圧巻で思わず魅了されてしまいます。2人が行き着いた先は天国か地獄か? 是非ご自分の目で確かめ、読後の余韻を噛み締めてみて下さい。
ただひたすらに優しい世界で心のデトックスをしたい時に読みたい一冊。桑原祐子先生の美麗なイラストと童話のようなストーリーを存分に楽しめます。
ある日、街を散策していた際に負傷して倒れている美少年を発見し保護した獣人貴族のディル。怪我で記憶喪失になった少年に、ディルはステラという名前を与え、記憶が戻るまで自分の屋敷にいるようにすすめます。紳士的(+良きモフモフ!)なディルと働き者で家人にも優しいステラ。寝食を共にするなかで恋に落ちてしまうのは自然の理と言っても過言ではありません!! ディルのお見合い話や獣人ならではの発情期が重なり、ディルがステラへの思いを隠せなくなるシーンが印象的でした。また、ディルへの恩返しのために、ステラが身体を差し出すシーンもキュンキュン必至♡
身分の違う恋に悩みながらも、愛の力で乗り越えていく2人にほろり。王道ハッピーエンドとモフモフが好きな方にオススメしたい作品でした!
お人好し神父・キース(27)がある日招き入れた美しい人の正体は、吸血鬼ヴィルジール(150)。さらには思わぬことから吸血鬼の息子(72)もできてしまいます。禁欲主義の神父が傲慢吸血鬼たちに翻弄され巻き込まれていく……3人の同居生活の行方はいかに!?
推しポイントはキースに対するヴィルの溺愛っぷり! キースを「シュガー」と呼び、「可愛いな…」と愛を囁いては寝込みを襲い血を吸い精液を搾り取るのです♡ いつも一方的に襲われげっそりしているキースには笑っちゃいます。そんなキースですが、誤って媚薬を飲んでしまい獣と化すエピソードは必見。禁欲主義者がオスみ満載でヴィルを貪る背徳感がたまりません! いつもは尊大なのに、男らしいキースに頬を赤らめ乙女化しちゃうヴィルもとっても愛らしいんですよ♡
何度も笑えてキュンキュンもできる大満足の一冊、ぜひチェックしてみてください♪
雪山を舞台に、オオカミ部族の長であるガルム(攻め)とハテイ(受け)の雄狼同士の美しい純愛を描いた一冊。二匹はとある事情からしきたりに従い「番の契り」を結ぶのですが、タフなガルムと生真面目なハテイはなかなか嚙み合わず……。しかし会話を重ね、共に時間を過ごしていく中で2人の絆は深まっていきます。一コマ一コマがまるで小説の挿絵のような本作ですが、登場人物(狼)の顔が男女問わず良いのでとにかく眼福!! そしてモフモフ&おめめくりくりの子ども狼たちも超絶カワイイんです♡ 丸っこい子どもたちとため息が出る程気高く美しい大人狼たちとのギャップに思わず「この子達も成長したらこうなるの!?」とツッコミそうになるほど(笑)。また注目してほしいのは2人の初夜……♡ グルル……と喉をならしながら長い舌で首元から口の中まで舐める攻めの姿にケモBLの良さが詰まっております……!
生贄として供えられた太郎と、恐ろしい怪物として森に存在しているウル。狼の見た目をして、鋭い爪を携えるウルは超がつくほど太郎に過保護。森の中の家でご飯を食べさせたり、叱ったら抱きしめたりと、2人の甘い生活を覗き見しているようでドキドキしました……! 何年も2人で過ごし、体が成長して自分の気持ちに気付く太郎と、太郎を大切に思うがあまり心の距離を縮められないウルのすれ違いに胸が締め付けられます。「味見する?」といたずらっ子のように尋ねる可愛らしい太郎に対し、しっかり動揺しながらも軽くあしらうウルに悶えました。太郎の真っ直ぐな気持ちとウルのもどかしい気持ちが非常に細かく描かれており、2人の幸せを願わずにはいられません!
何年もお互いを大切に思ってきた2人だからこそ、気持ちが通じ合ったときの喜びが何倍にもなって伝わってくる……。切なくも甘くて温かい読了感をぜひ味わっていただきたい作品です。
いかがでしたか?
冒頭で挙げた人気の人外に加え、吸精鬼といった珍しいタイプの人外まで、そして作品トーンもギャグありキュンありホロリありと、実にバラエティに富んだ8作品となりました。
ここ数年、どんどん新しいカテゴリが増えつつあるBL界……。今後どんな人外が増えていくのか今から楽しみですね♪
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