改めて「和」の魅力を実感!
大好評のシーモア限定特集。今週は「和の心」を感じるBL作品でしっぽりしませんか? 海外では「WABI SABI」という言葉が浸透しているそうですが、日本ならではの佇まいになぜか惹かれてしまうのは日本人とて同じ。和服姿に郷愁を覚えたり、伝統芸能に感動したり、「和」は人の心を豊かにするもののひとつだと思います。 今回はそんな「和」をテーマにした8作品をピックアップ。はんなり癒されるのもよし、作品内での「和」描写に注目するもよし。心ゆくまでお楽しみください♪
読者を一気に作品のなかへと誘う独特の世界観が魅力……!たうみまゆ先生のギャグありシリアスありの傑作短編集です。
表題作の「隅田川心中」は何度も読み返したくなるお話のひとつ。「頭脳明晰で元落語家の熊田」と「小卒でアホだけれど勘は鋭い大川」という対照的な2人の恋模様を描いています。落語ならではの洒落のきいた言葉選びが秀逸で、まるで一本の映画を観ているかのような新鮮な気持ちで読み進めることが出来ます。特に、言葉の表現が苦手な大川が「すきってなんで2文字しかないんスかね……」と悔やみながら熊田に告白するシーンはどんな美しい言葉よりも想いが真っ直ぐ伝わってきて胸を打たれました……。
まさに、自分の胸の内に大切にしまっておきたい一冊! 読み終わったあと、あなたもきっと落語が見たくなるはず! まずは試し読みでその澄んだ「空気感」を味わってみてください。きっとすぐにポチッてしまいますよ~!
みよしあやと先生が「いつか名古屋を舞台に描きたい」と温めていた和芸能モノ。大衆演劇一座の若手ホープ女形ながら、今ひとつ華を持てずスランプの哀之助が、自分をモデルに活劇ファンタジーを連載中の漫画家・御法川との日々を通して初々しく色づいていく青春恋物語です。
共に高校生ながら職業人という設定がユニークで、ところどころに互いのプロ意識が光るのが魅力。自分をデッサンする御法川の真剣な視線に気圧される哀之助が、ここぞという表情一発で逆に御法川を圧倒するくだりは、読んでいるこちらもゾクゾクっ! 先に恋心を自覚する御法川に比べ、哀之助はもう最後の最後まで「わかんねえ!」とモダモダしていますが、「わかんねえ!」ことを真正面からぶつけに行くクライマックスの〝なぜか敬語でQ&A式〟の気持ち確認シーンが萌えモンです。後日談の〝重版出来おひねりエピ〟も傑作。大衆演劇も漫画も日本の宝という意味で、まさに和の心BL!
書道家の英純と華道家の皓樹は幼なじみ――そして七年も口をきいていない冷めきった関係。原因は皓樹への恋を自覚した英純が徹底的に避けていたから……なんて、こじれた幼なじみBLが好きな人のハートに急転直下で矢が刺さる設定の今作です!
生徒にも人気のあるイケメン先生2人の色っぽい和服姿はもちろん見どころですが、最も推したいのは英純の気持ちを知り、自分の内にひそんでいた英純への愛情を自覚した皓樹のグイグイくる雄感♡先に告白とキスを仕掛けた英純が戸惑うほど、積極的に関係を進めてくる攻めっぽさにはゾクゾクするものがあります。嫉妬深く、独占欲が激強なのも◎!
物語は2人のこじれが解け始めるところからスタートしますが、有名な書道家と華道家であるがゆえ、立場や世間の目に苦悩する姿もしっかり描かれていて読み応え抜群です。どんどん開発されていく英純が想像以上にエッチで魅力的なので、そこも見てほしいポイント♪
幼馴染として育った呉服屋の完士と華道家の圭。成長した2人がそれぞれの道で向き合う作品をご紹介いたします♪
完士は初仕事として圭の新しい着物を任されます。この生地がいい、この色が似合う……と、圭を思いながら取り組む姿がまず推しポイント!一方の圭は幼い頃から兄へのコンプレックスがあり、かなり片想いを拗らせてきたツンデレです。意地っ張りで無駄に遠回りしてしまった圭だからこそ、想いをぶつけてからの素直さが眩しい!「ただお前が好きなだけ」「少しでも長く一緒に居たい」と頬染めながら口にする圭にはキュンときちゃいます♡幼馴染って共有した時間が長いので、回想シーンはグッときますよね?華道にまつわる思い出を持つ完士と圭の間にも大きな思い違いがあり、20年もの時を経て誤解が解けるシーンは花の美しさと相まって心に響きます。圭が華道を続ける理由は名言…!お互いに可愛く見えるがゆえのポジション争いも楽しいです♪
お客は子どもばかりの店を継ぎ、平和な毎日を送っていた駄菓子屋の悟郎。ある日やってきたのは、茶道界の貴公子・穂高でした。どこか翳のある雰囲気を持つ穂高ですが、なんと彼は義兄をはじめとした本家の人間から折檻を受けていることが判明!さらに客人相手に体を使った“お茶会”までさせられていて……。そんな不憫すぎる穂高を救い出そうとする悟郎が本っっっ当に男前でかっこいい~♡それなのに実はヘタレな一面も持っているというギャップ……!助けた後でうじうじ悩む悟郎を見て、穂高が優しげな表情を見せたのも印象的です。ブラコン義兄と戦ったり和菓子職人に穂高が拉致(?)されたりと、少し重めのストーリーですが、随所にちりばめられたほんわかシーンが心のバランスをとってくれます……。そしてそして、様々な試練を乗り越えてのHシーン!顔を真っ赤にして求め合う2人が本当に尊くて悶絶必至です!!
訳あり美青年のハラハラ救出劇をたっぷりご堪能ください!
日本が大好きで、大和撫子を見つけるべく来日したアメリカ人のノア。しかし現実は厳しく、絶望しかけたその時……!美しい黒髪と絹のような肌、流れるような所作に凛とした佇まい、和服がすこぶる似合う呉服屋店主・清正に出会ったのです!まさにノアの求めていた大和撫子!美形おじさんと和服のコラボレーションに「これぞ日本の古き良き文化!」と拍手したくなりました。
そんなふたりの恋模様ですが、注目すべきは浴衣着用のお祭りデートです♡花火をバックに簪をプレゼントしたノア、そして満更でもなさそうな清正!簪と和服オジの組み合わせに筆者はガッツポーズをキメました(笑)。「これはいける!」と思ってノアは告白するのですが、なんとこのおじさん……とんでもない天然だったのです!!鈍感な美人おじさんのズレた言動に、思わずノアを応援したくなること間違いなし!
紆余曲折ありつつの、嬉し恥ずかし初Hは国宝級に尊い清正の照れ顔&堪え顔をどうぞお見逃しなく!
仕事と恋人を同時に失い、悲嘆に暮れていた料理人の凜が尋ねた先は口コミ評価1の寂れた旅館。人生に終止符を打とうと思い訪れたこの場所で、イケメン若旦那の総一朗と出会います。いざ、自らの命を絶とうとしたその瞬間「私にその命、しばらく預けてみませんか?」と持ち掛けられ、凜はしばらく旅館で働くことに。その代償として、総一朗は凜の恋人の代わりとなることを提案。契約とはいえ、総一朗とのスキンシップに凜の心はドッキドキ!総一朗の言動に一喜一憂しながらも、過去の経験からで恋に憶病になってしまった凜は、総一朗から距離を置くことを選択。イケメンたちの憂いって、どうしてこんなにも美しいんでしょう。180ページ弱、最初から最後まで眼福の一言です……!
また、第5章に収録されている、旅館の番頭・菊之進の10年越しの恋も見逃せませんよ~!失恋の痛み、嫉妬、別れ、泣けるエキスをギュギュっと詰め込んだストーリーは、ハンカチなしでは読めません……!
村の因習・守らねば厄災・儀式の完成は契り・男同士でも……。そんな和の心に満ちたエロ要素設定が萌え心を刺激する、いつきまこと先生のコミカル&エロな因習婚譚。
美人リーマン百貴とワイルド大学生・千景の2人がそれはもう美しくセクシーで、きれいな肉体がからみあうエッチシーンは、エロく、激しく、眼福モノです。そこに至るまでは体どころか拳を交えるほどのイヤイヤから始まり、発熱看病を経て寄り添い、エッチを成功させようと協力、でも百貴は受け入れるにはあまりに〝大きい千景〟にビビり、また年齢差その他事情に悶々として逃げ出し……などなど、笑えたり切なかったりのエピソードがノンストップ。クライマックスでは、誤解による別離を乗り越えて激甘の「アリ婚」へ一直線!婚姻シーンで百貴がまとう、白無垢と白紋付の美しさには千景ならずとも惚れ惚れします。そして当て馬……というより巻き込まれた同僚・田端の幸せを願わずにはいられません……。
やっぱり日本っていいな~~!ズラッと並んだ和BLを前に、改めてその魅力を実感した特集でした。過去には外国BLを特集したこともありましたが、作品から漂う空気感だったり、キャラがまとうオーラがやはり全然違う気がします!
皆さんはどの「和」男子がお好みですか?ぜひお気に入りを教えてくださいね!
\スタッ腐★イチ推し特集/