ヒーローがヒロインを通して世界中を愛しいと思った瞬間、思わず口をついて出た感謝の言葉。
このお話自体が、ただ情熱的に惹かれ合ったのではなく、お互いの人柄や価値観をゆっくり理解して愛を育んでいく物語で、
その中にあってこそ一段と輝いて好きなシーンです。
姿かたちが変わっても、本当は誰なのか知らなくても、何度出会っても同じ人を愛するヒロインが、
初めて愛する人の本当の名前を知った瞬間。
『こんにちは』というごく普通の言葉と、抱擁もないさりげないふれあいに、深い深い意味を込めてみた、好きなシーンです。
お話のかなりの部分が暗い穴の中という異色なお話。
すべての希望を捨てそうになるマギーが、アダムの声に励まされ、ただその声だけを頼りに、
小さな絶望の塊のような小石をひとつひとつ自分の後ろへと落としていくシーン。
ロマンスらしからぬ画面で、さらにいくら遭難したとは言え、ちょっとヒロインを汚しすぎた(画面的に)と反省もしています。
他人に遠慮などしたことがないであろう砂漠の王族が、ヒロインを大切にするあまり、どこまで迫っていいかわからなくなって、
『せめて』と初めて触れ合うのが「手をつなぐ」という
お前は中学生かいっ、と突っ込みたくなるお気に入りのシーン。
ハーレコミックスの見せ場、涙の告白シーンのかわりに、告白後の大笑い。
緊張の糸が切れた時に笑いがこみあげて、止まらなくなるという状況、
すべての誤解が解けたこういう場面では、そういうこともあるのじゃないかと、原作にないのに加えてしまったエピソードですが、
二度は描けないだろうと大切に思っているシーンです。