ラストに何を見出すかはあなた次第
メンタルをごりっごりに削られる作品が好き!どんとこいグロ描写……!人知れずそんな性癖を抱える「闇の腐女子」さんに捧ぐ……。生ぬるい描写じゃ物足りないアナタの欲望を満たす、超ヘビーな8作品をご用意しました。光のBL好きさんはどうぞ十分に注意したうえでお進みください……。
2月の雪の夜、美大生の榛名は傷だらけの青年を見つけ、家で介抱することに。家族の縁に恵まれず孤独に生きてきた榛名と、美しい刺青を背負い過去に口を閉ざした四季は、急速に惹かれ合い、お互いを求め始めます。寄り添う2人の日々に影を落とすのは、四季が時折見せる寂し気な表情。四季の大きな秘密とは──?
どちらにも過去があり、どちらも傷を抱えている。たった数週間の間にお互いにとってかけがえのない存在になっていく様子をきゆひこ先生の繊細で飾りのない絵のタッチが優しく描き出します。その一方で、物語の行方を暗示するかのような人魚や黒猫の挿話とともに、龍の刺青の意味が次第に明らかになっていきます。
この物語に、心が凪ぐような結末は用意されていません。ただし、最後のシーンに何を見出すかは、読み手に委ねられているように思います。榛名と四季の想いに共鳴しながら、2人の物語の終章をぜひ想像してみてください。
一気読み必至!BLを超えた!闇の腐女子にぜひ読んで欲しい、重くて痛いダークサスペンス。
誰もが見惚れる儚げ美人の郁彦、幼なじみの拓海、拓海の彼氏の亨、享の悪友の義孝。一緒に過ごすうちに郁彦は亨に惹かれ、また、亨に守られる拓海を羨ましいと思うようになります。親友の幸せを妬む感情や自分の秘めた願望に戸惑いながらも、愛されたい、繋がり合いたいと必死にお互いに手を伸ばす亨と郁彦に胸を打たれます。決して褒められたやり方ではないけれど、その時の郁彦にはそうするしかなかったと思わせるほどの壮絶な過去。原作の繊細な心理描写を見事に表現した美しい作画が物語をよりシリアスに魅せています。
それぞれの暗く弱い部分を舐め合いながら、執着とも愛情とも言える絶妙なバランス関係を築いていく4人。結末をどう受け止めるかは読み手次第。ページを追うごとに暗い方に話が沈んでいき、背筋がひやりとする読後感が味わえます。
ホストをクビになり家を追い出されたクズの岡田は、高校の同級生・本谷に拾われます。言われるがままについていくと、岡田の前に差し出されたのはなんと封筒入りの100万円。「この先ずっと家にいる」という約束で岡田はそれを受け取ったものの、早速の豪遊で使い果たしそうに。ギリギリのところで残金を持って出て行こうとしますが、それを知った本谷は態度を豹変させ…!?
「そりゃそうだ…いくら高校の同級生だからっていきなり大金渡さないでしょ」と、ツッコミを入れたくなる方も多いはず。クズな上にバカ……でもそこが岡田の可愛いところなのです。一方の本谷は、何の仕事をしているかも分からない男。そんな本谷に体を作り変えられる描写がたまりません!首輪付きの監禁や玩具などのハードなプレイ、そして歪みに歪んだ感情を存分に楽しめる本作。本谷の元ペットらしき男が現れたり、一瞬だけ自由を味わった岡田がもう後ろでないとイけなくなったりと続きが気になる一冊です!
ずっと「母を殺したこと」が心に引っかかったままの塔太。教師にも性的暴行を受けており、唯一の救いはクラスメートで恋人の悠人。世界にどんな辛いことや理不尽なこと、つまらないことがあっても悠人さえいたら生きていける……。むしろ塔太は、悠人がいないと生きていけないとさえ思っていました。しかし、ある日、塔太は悠人に手酷い振られ方をしてしまいます。今まで悠人にでろでろに甘やかされていた分、その落差は激しく塔太は体調を崩すほど。実は悠人は最初から塔太を傷つけるつもりで付き合っていたのです……!
塔太は悠人に自分にはない「まともさ」を求め安堵していたのですが、悠人のほうがかなり拗らせていたのです。ベクトルが明後日の方角に向いているヤンデレ……それが生い立ちのせいとはいえ、スタッ腐は震え上がりました。この受け、怖すぎる……!
悠人にも教師にも、親にも愛されることのなかった塔太は果たして幸せを掴めるのか!?ハンカチ片手に見守ってください!
正義のために暴力をふるい煙たがられているアウトロー警部・常田は、連続一家心中事件の参考人・神島に疑いを持ちます。しかし、常田に接触してきた神島はなぜかやたらと常田に懐き、調子を狂わされていきます。未だ続く事件の共通点に神島への疑いを強める一方で、会うたびに神島から好意を向けられ、しかも次第にエスカレートするその愛情に、常田自身が思いもよらなかった方向へと感情が向かっていくのです。周りに理解されない孤独を心の底に押し込めていた常田が、神島の歪みながらも深く大きな信仰心に、孤独をあぶり出され籠絡されていく様にはゾクゾクすること間違いなし!救われるのか救いがないのか…最終話までドキドキが止まりませんでした。一見柔らかなのに実はとても鋭利な神島の言葉ひとつひとつも味わっていただきたいポイントです。
サイコパスワンコ美青年の真意と、絡めとられるアウトロー警部の行く末を、ぜひ実際にお確かめください。
母親の再婚により都会から越してきた春生。地元の名士の次男・篝に、自分の家の私有地に勝手に入ったと因縁をつけられ下僕になることに。春生は波風立てず流されることで生きていく術をその身に染み込ませてしまっています。そこに現れた篝という強烈な存在……絶対的な命令を与え続ける篝と、どんな内容であれそれを受け入れ続ける春生。同じ時間を過ごすうちに、2人の間に信仰のようなものが生まれるのです。唯一神・俺様攻めという概念が素晴らしすぎて拍手喝采が止みません!
一見するとただの不良に見える篝ですが、兄の影を追うように地元の暴走族を潰して回るなど生き急ぐような激烈さがあります。まさにカリスマ。
しかし、隣町の暴走族に溜まり場を襲撃されてしまった篝。その事件の直後、篝は春生を手放し消え、代わりに死んだと言われていた篝の兄が現れて……?信仰の先に見えるのは、春か修羅か?ぜひご堪能ください!
過去の虐待が原因でほとんど喋ることができない男と、借金返済に苦しみ暴力を振るわれ身体を売り、身も心もズタボロの男。さらに闇の世界での数々の暴力描写……。ピュアで歪な執着愛を描くバイオレンスBLがこちら。
闇金事務所で返済できず、痛めつけられていた青年・柊は、闇の掃除屋として働く彗に「俺を3万で買ってくれないか」と持ちかけます。ボロボロな柊の縋り付く姿に、かつて自分が守り切れず継父に殺されてしまった猫の記憶がよみがえり、彗は柊を買い、手を尽くすことに。一方、彗が見返りを求めないまま親切にする理由がわからず、柊は困惑しました。しかし、次第に心を開き、愛情を感じるようになって……。一見、大きな愛で可哀想な男を救うかのように見えますが、その実は、繋ぎ止め愛を貪りたい執着の塊。想い合う故にすれ違い、壊れていく相手とどう向き合うのか。その悲壮な決意に身の竦む思いがします!暗い中にも深く真っ直ぐな愛情が印象的な作品です。
かつては夢を持ち映画に携わっていた安藤。夢破れた今、起きたらコンビニバイト。帰れば廃棄を食べて寝るだけの荒んだ日々。そんなある日、店先にうずくまる高校生・中田を拾ってしまい、成り行きで1Kの狭いアパートで同居することになります。安藤が働いている間、のほほんと過ごす中田は有名進学校に通う優等生。未来も希望もある若者からの「すごい」の一言に溜まっていたものが爆発。暴力を振るったうえ無理矢理組み敷いてしまい……。
本作のポイントは、リアリティある会話と世界観。ダークながら説得力ある会話とモノローグに引き込まれます。それぞれの葛藤が巧みに表現されていて、2人が互いを受け容れていく過程は読み応え抜群です。安藤のとある決断はとても印象的なシーンとなっています。また、本作は同時収録作も良作揃い!息をのむ背徳行為やひりつく空気感が病みつきになります。個人的に再読率の高いおすすめの一冊です!
心がヒリヒリすること請け合いの8作品、ご満足いただけたでしょうか?
心臓を抉るようなストーリー展開、読み手に委ねられた結末……つらいと知りつつも読みたくなってしまう。それが闇系BLの魅力だと思っています。どうぞ本編をお楽しみいただく際にはメンタルの調子を整えたうえで臨んでくださいね。
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