レビューを読んで「これメンタルやられる系では・・・・・・?」と、購入を躊躇った経験はありますか?完全なるバッドエンドはダメでも、当事者的にはハッピーエンド、いわゆるメリバ(メリーバッドエンド)なら何とか読めるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。あるいは「そういうグサグサ抉られる話こそ読みたい!」という腐女子の方も多いとお見受けします。
今回の特集で扱うのは、衝撃の結末にモヤモヤが止まらないメリバ作品のみ!!メンタルがゴリゴリに削られること請け合いの8作品を全力でオススメしちゃいます・・・・・・!
どうぞ精神面が安定している時に読んでみてくださいね!
幻想・耽美・大正浪漫!転生の末に実る歪んだ純愛
幻想文学、怪奇小説などのジャンルがお好きな方、確実に刺さりますよ~! ノスタルジックな絵柄で描かれる耽美な世界観がクセになる一作です!
流血あり死ネタありの転生ものホラーファンタジーというコアな作品ですが、そこに描かれているのは深い因縁で結ばれた純愛。無念、怨念で結ばれていたはずの彼らが、歪んだ愛の中で心中してゆく様はまさに最高のメリバです!! 不穏な終わり方なのに、「これで良かったのかも」と思えるような不思議な作品でした。徐々に明らかになってゆく物語の真実は圧倒的。BLでこのようなハラハラを楽しめる作品は珍しいかもしれません。また、大正ロマン、和装、学生服、黒髪の美少年と、腐女子の琴線に触れるモチーフもたっぷり楽しめちゃいますよ!
暗めの話、切ない話が好きな方、そしてストーリー重視の方にも自信を持ってオススメできる本作。オカルトチックでアングラな春泥ワールドに足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。
<あらすじ>
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やっと見つけた…ゲスDK×黒髪リーマンの年の差BL
美形な男性たちが計5組も登場! 大変贅沢すぎるシチュエーションの本作は、桐式トキコ先生のデビューコミックス。今回はメリバ特集ということで、こちらのオムニバスの中から2作目「引き摺り下ろして手を牽いて」をご紹介いたします。可愛い顔して下衆な男子高校生・五藤伊織と、とある動画で弱みを握られてしまった黒髪美人サラリーマン・瀬良瑞貴。 動画をちらつかせ、思うがままに振る舞う五藤はファミレスで瀬良を触ったりとやりたい放題です。言いなりになるしかない瀬良とサイコパスみのある五藤。一見すると、男子高校生×サラリーマンの下剋上主従関係のように感じるのですが、実は瀬良の方もある思いを抱いていて・・・・・・!? ふたりの関係がどう歪んでいるのか、ぜひご自身でお確かめ下さい~!そして他の短編も綺麗な男が盛りだくさん! 桐式先生の作品に登場する攻は鬼畜が多い(!!)ので、プライドの高い受がグズグズに泣かされる展開がお好みの方にオススメですよ♡
無自覚こそ罪!一番近くて一番危険な幼馴染の執着愛
主人公の音人と成美は幼馴染同士。あることがきっかけで、成美は何も知らない音人に「いやらしいこと」を教えるようになって――。成美の音人への執着が半端なく、エッチシーンを盗撮していた時は恐怖を感じましたが、読んでいるうちにスタッ腐は気付いてしまったのです・・・・・・。成美の執着より、何も知らなすぎる音人の方がやばいと!! 自分が成美に執着していることに気付いていない上に、世間のことを全く知らない・・・・・・。それもすべて、成美がそうなるように仕向けたのでしょうか・・・・・・。これからの彼らのことを考えると良い結末とは言い難いですが、本人たちはとても幸せそうなので、まさにメリーバッドエンドですね。 音人には優しい成美が、音人のクラスメイト・三田を見下したときの眼は、ブラックなるちゃん全開なので要注目です!!収録作品の『禁忌~タブー~』も、それぞれ闇を抱える3人のお話ですので、危険すぎるエロス満載のメリバ作品が好きな方は、併せてチェックしてみて下さいね~!
暗い!重い!つらい!三拍子揃ったメリバのお手本
メリバといえばこれ!というくらい衝撃を与えたこちらの作品。陰鬱な雰囲気のなか、美しいタッチで描かれる憂いのあるキャラクターたちも魅力的なのですが、やはり注目すべきは収録作品ほぼすべてがメリバという点。「道徳的に大丈夫なの!?」という展開も多々あり。衝撃のラストシーンは何度読んでも完全に人としてアウト。それでも、登場人物たちにとっては幸せなのかもしれない・・・・・・と複雑な気持ちにさせられます。
お話は救いようのないくらい暗いのですが、たまに入ってくるコミカルさによって、すらすらと読めてしまうから不思議です。普段暗い作品を読まない方も、抵抗なく読めるのではないでしょうか。
それにしても国枝先生は本当に短編の上手い作家さんだとつくづく・・・・・・。短い物語の中にキャラクターの魅力、ストーリーの奥行、萌え、すべてが凝縮されていて、まるで上質な純文学を読んでいるような気分になれます。読まなきゃもったいない名作短編集でした!
世界にふたりだけでいい・・・異常すぎる共依存ラブ
一度読んだら忘れられない、衝撃のメリバ作品・・・・・・!
誘拐犯の息子×誘拐された子供という危険な匂いしかしないこの組み合わせ。再会したふたりの話かと思いきや、誘拐された八雲の実の兄・出雲も絡む三角関係に!?この3人は果たして「幸せな結末」に辿り着けるのか・・・・・・?とゾワゾワしながら読んでしまいました。作中一番の異常者ともいえる八雲ですが、計画が柊平にバレた時の彼の表情に、思わず背筋がゾッとするほど恐怖を感じました。初めは葛藤していた柊平や出雲が八雲に堕ちていく過程も、少しその気持ちがわかってしまうだけに、よりストーリーに引き込まれます。八雲自身、誘拐されたことでおかしくなってしまったので、誰も悪くないというところが切なくもありました。依存し合う3人の豹変した時の表情にも注目です!
メリバが好きな方だけでなく、ストーリー重視派の方にも、満足していただける一冊となっております。この異常で歪な愛の行方、ふたりの幸せな形を最後まで見届けてみてください!
俺の人生に巻き込んでごめん・・・背徳感MAXの兄弟BL
初めて本作を手に取った時、まさに「どうしようもない」ほどの衝撃を受けました。帯に書かれた「兄弟やめよっか」の文言・・・・・・。兄弟BL大好きマンとしては無視できません!!兄の匂いがないと眠れない弟、そんな弟を放っておけない兄を背徳的に描く本作。就職を機に離れたのに結局戻ってきてしまう弟コウキも、弟のために在宅の仕事を選んでしまう兄タカヒロも、ブラコンの一言では片付けられないほど執着し合っています。社会人の男ふたり、しかも兄弟が未だに同衾しているというシチュエーションや、恋愛感情はなかったハズなのに、弟の寝顔を見てシコる&ぶっかけてしまった時のタカヒロの表情にとてつもない萌えを抱いてしまいました・・・・・・!そして、今の環境を維持するための「兄弟やめよっか」という台詞。ここに至るまでの経緯、そして兄弟をやめてからの生活、どちらも執着と闇にまみれており、「これでいい・・・んだよね?」と自問せずにはいられませんでした。
兄弟×共依存という強烈すぎる背徳設定に心臓を鷲掴みにされたい方、どうぞチャレンジしてみて下さい。
お前は俺のものだ・・・!執着と暴力が入り乱れる監獄へようこそ
あまあまなラブストーリー、あるいはちょっとダークな作風が昨今好まれる傾向にありますが、今こそタフな男たちの生き様を描く本作を敢えてオススメしたい!
舞台はアメリカ。殺人罪で地下刑務所「アンダーグラウンドホテル(UGH)」に投獄された日本人・センと、囚人のボス・ソードが主人公。とにかくこのUGH、無法地帯です!囚人同士(全員男)のセックス・レ●プは日常茶飯事。ヤクの売買も暴力も何でもござれ。看守も抑止力にはなりません。センが身の安全を確保するためにソードの”オンナ”になったのも頷けます。徐々に距離を縮めるふたりですが、その関係は甘いものではなく、対等な男同士の関係という点が最高に推せる!!想い合っているのに平気で他の男と寝るところもある意味UGHらしいですね。
生きてUGHから出ることはできない──。ふたりが選ぶ結末は、まさにメリバの極み。「次にキスするのは太陽の下で」という台詞がエモすぎて卒倒しました。アングラ世界で愛を貫こうとする男たちの重厚感あるストーリーを、たっぷりのエロとともにご堪能あれ!
ハピエンと見せかけて突き落とす!衝撃の結末にメンタル崩壊
精神的ダメージがスゴイことで有名な作品のひとつがコチラ。刺青を持つ3人の男たちの人生を描くハードで痛いオムニバス作です。
登場CPを1組ずつ順々に追っていく形式での展開ですが、それぞれの話は全て繋がっており、3組で物語が完成する構成となっています。開始から中盤までは思っていたよりしんどくないどころか、「え、これはハピエンルートなのでは?」と思える描写も。暴力シーンやクズ描写もありつつ、希望を見出せるようなストーリーに思わず首を傾げてしまうほど。しかし!!ラスト20ページで怒濤の精神転落ルートへ突入。不穏な空気から徐々に・・・・・・ではなく、落とし穴へ真っ逆さま状態です。先述のとおり、3組の話が複雑に絡み合っていることを嫌でも思い知らされました。既にズタボロ状態かとは思いますが、ぜひ最初からもう一度読み返してみて下さい。全てを悟って崩れ落ちること必至です・・・・・・。
主要キャラのひとり・久保田は言います。「償いながら生きようね一日でも一秒でも長く一緒に」この言葉が意味するものとは・・・・・・?心してどうぞ。
い、いかがでしたか・・・・・・?スタッ腐のメンタルもやられ気味ですが、ツライと分かりつつも再読してしまうのは何故なんでしょうか・・・・・・(笑)
救いがあるのかないのか、本当のところは読者には分かりません。キャラの立場に立ってどれだけストーリーに入り込めるかがキーになるような気がしました。