BLにおける女子キャラを皆さんはどう捉えていますか? 「女子がいるだけでちょっと」「メインふたりを邪魔しなければOK」様々な意見があると思います。今回は敢えて、禁断の「女子」をテーマにしてBL作品を選定してみました。当て馬なのか、キューピッドなのか、はたまた盛り上げ要員なのか。作品ごとに扱いは様々ですが、女子キャラの存在を捨て置けない作品のみを大特集! はたしてどのような女子が「活躍」するのか、ハラハラドキドキしながら見ていきましょう~!
ヒーローの隣にいるのは俺じゃないお姫様
幼馴染に恋をして思い悩む話は、BL漫画の王道とも言えるテーマですよね。本作の主人公も、ノンケで彼女持ちの幼馴染に片想い中。ひとり想いを抱え、伝えられずに苦しんでいるストーリーがとにかく切なすぎる・・・・・・! しかし本作には、他の作品と大きく異なる点が存在するのです! それはズバリ「女の子の登場率」! メインCPの男子ふたりに加えて、主人公たちの先輩がひとり登場するほか、更に3人もの女性が登場!! 主人公の片恋相手の彼女、先輩の妹、先輩の友人・・・・・・作中に登場するこれらの女子キャラ全員が大きくストーリーの本筋に関わってくるというユニークな構造をしています。ある時は主人公の恋敵だったり、またある時は主人公と似たような悩みを抱えていたり・・・・・・。特に前編では女子の存在が大きく主人公を苦しめる描写が多く、苦しい心情が伝わってきました。
恋に悩みながらも前進していく主人公たちと同様に、女子キャラたちの人生もまたそれぞれ進んでいきます。ぜひ彼らと、彼女らの恋の生き様に手を伸ばしてみてはいかがでしょうか!
エリート×元カレ! 全てを捨ててでも手に入れたい恋
「最早これは完全にふたりの世界でしかない・・・・・・」そんなしんみりとした感情を抱いてしまう作品がコチラ。女の子は登場しますし、当て馬も登場します。けれど読み終わってみれば、メインCPのふたりは最初から最後までお互いの事しか見ていないことに気付くはず。
本作品に登場する女性は、攻・六郎の婚約者。エリートサラリーマンの六郎は上司の娘である美奈と結婚を前提にお付き合いをしていますが、そんな六郎には忘れられない相手、大学時代の恋人ルイがいました。彼らは男同士の葛藤や悩み、周りの反応など多くのきっかけを機に一度お別れをしています。社会人になってもお互いをまだ忘れられていない六郎とルイ。そんなふたりがいたら、婚約相手の美奈がどうなってしまうかなんて分かりますよね・・・・・・? 六郎の勝手な行動をぶつけられた美奈。そしてタイトルにもある「涙」というキーワード。これはメインの六郎とルイの涙であり、同時に彼らの恋に絡んでしまった美奈の涙でもあるのかなと思いました。
あらゆるものを犠牲にした彼らの想いの行方、ぜひ皆さまも見届けて下さい。
嫁や妹も!! メインCP以外の主役にもご注目!
高校時代の恋人が結婚する。あらすじのこのフレーズだけで胸が締め付けられる・・・・・・という方、いらっしゃいますよね。しかし本作はBL的なものだけに留まらず、様々な要素が作中に散りばめられており、ひとつの作品として感動できるようなものとなっております。
メインカップルであり、結婚を迎えた市川望とその元カレ・佐藤伊織のふたり以外にも、本作にはもうひとり主人公と言っても過言ではないキャラが存在します! そのキーパーソンが、市川のお嫁さんである桜。結婚しても、佐藤のことを忘れられない市川。それに気づいている桜にも秘密があって・・・・・・。そして、高校教師をしている佐藤の教え子である市川の妹・のぞみも鍵となります。高校生という多感な時期に、兄とその想い人、そしてお義姉さんの感情に触れて大人になっていく様子に涙が・・・・・・。
BL作品には珍しく、女性キャラがふたりも絡むこの作品。メインふたりの心情はもちろん、他キャラの想いにも注目して読んで頂きたい一作でした!
砂糖味の関係に、お兄ちゃん大好き妹要素の苺を添えて♡
メインカップルは幼馴染の星(せい)と兎惟斗(ういと)。ラブラブいちゃっぷるなふたりのひたすらにあま~い日常を一冊丸ごと垣間見ることができちゃいます。あまとろえっちが堪能できること間違いなし!
兎惟斗には野苺(このみ)という妹がいるのですが、その妹ちゃんがパンチが効いていてとっても良い・・・・・・! 野苺ちゃんは、お兄ちゃんに対して異常なくらいの愛情を注いでいます。お兄ちゃんのしあわせが一番! かっこよくてカワイイお兄ちゃんが大好き! という感情が前面に出てしまう野苺ちゃん、カワイイです・・・・・・(小声)。彼女はふたりの恋愛には関わりはありませんが、兄とその友人の関係には気付いています。「(友達の家に泊まるから)あたし今日帰らないから」の一言に思いやりと兄への尊さがつまっていました。メインふたりのラブラブさはもちろん、私たち読者と同じように星と兎惟斗を応援する気持ちには共感できるのではないでしょうか。今までにない妹の絡みっぷりにゾクゾクしちゃう方、きっといるのではないでしょうか!?
駆け落ちした姉!?残された婚約者は色気たっぷりで・・・
物語のキーとなるのは主人公である純朴男子高校生・千紘のお姉さん!! 結婚を目前に、姉が婚約者をおいて他の男と駆け落ちしてしまったのが始まり。そこからお義兄さん(仮)であるなつきとの生活がはじまります。なつきのそこはかとない色気と無邪気な誘惑に、多感な時期の千紘はドキドキしっぱなしで・・・・・・。とにかく、なつきの誘惑やエロさが半端ないので、ふと気づくと顔面がニヤついちゃってまずい!!(笑)
が、物語中盤では、お姉さんが駆け落ち相手と別れて家に帰ってくることで再び一波乱。結婚の話が再び浮上してくるのです・・・・・・! 姉の結婚、相手の想い、そして自分の想い・・・・・・。千紘は果たしてどんな選択をするのか!? 千紘のなつきに対しての想いに思わずうるっときてしまいます。姉という身近な存在だからこその一言が千紘の大きな一歩に繋がるので、そこも併せてチェックしてみてください!
ウブな高校生と都会のエッチなお兄さんの爽やかな恋模様、あなたも感じてみてはいかがでしょうか。
キューピッドは女性!ゲイ社長と絆されリーマンのお仕事BL
日高ショーコ先生の初期の作品! シリーズ作は読んだけれど、1巻完結モノは未読という方に向けて全力でオススメしたいのが本作です。
仕事はできるが、私生活はゆるふわなイケメン受と、その真逆をいく几帳面攻の年下攻カップリング。普段余裕があって老成したようにも見える攻の榊さん。時折見せる年下感がたまりません。そしてとっても綺麗好きで、告白という大事な時に岡田の部屋を掃除しちゃうという。なぜ掃除するっ!(笑) そんな風変わりな榊と岡田の初キスのきっかけを作ったのが、部下の中森。デキる女性・中森さんは、仕事と別に彼らのプライベートもフォロー! 榊の気持ちに一番最初に気付く・榊の電話番号を岡田に教えるなど・・・・・・中森さんがいないと榊と岡田は付き合えなかったんじゃないか? と思うほど。物語を動かしながら、キューピッドでもあり、そしてバリバリ仕事もできる・・・・・・榊(社長)は中森さんに特別手当を出すべきですね(笑)
彼女の魅力にやられた皆さま、『After【電子限定版】』や『初恋のあとさき』の最終ページにその後の中森さんが登場するので、こちらも宜しければどうぞ!
傷心ノンケと片恋ゲイなど!恋に悩む男子ズ+女子のオムニバス
相手のことが大好きすぎてとろっとろ♡ そんなキュートな男子たちを思う存分楽しめる作品が本作!
メインCPは、彼女にフラれて傷心中の児玉と、彼に片想いしている心(しん)。大好きな女子を口説き倒してゲットしたのに最後にはフラれてしまった男、その男に想いを寄せてノンケ相手だろうがガチで口説いてはフラれる男・・・・・・。当初は断固拒否の姿勢をとっていた児玉が段々と心の健気さを可愛く思うようになる辺りがギュンときます! そんな児玉にひたすら「好き」をぶつける心の一途さも堪りませんっ! 凸凹なのに実は仲良しなふたりを傍観しつつ「ラブの証明」に勤しむのが本作注目の女子キャラ・ようこ。彼女こそ児玉の元カノなのですが、愛を知らない彼女が、児玉と心のやりとりを見る中でそれを知るという何とも切ない描写が印象的です。第2話最後のコマのようこ・・・・・・思わず抱きしめたくなりますよ(泣)
そして同時収録では、ようこ兄を含めた計3組のカップルの話が楽しめます! 個性的すぎる登場キャラ全員がどこかで誰かと繋がっているというスゴさ!! ぜひキャラ同士の接点も含めて楽しんでくださいね♪
叔父の恋・・・届かない気持ちを届けたかもしれない女子の話
最後にご紹介するのは、女子に好かれる女子キャラを生み出す鬼才・ヤマシタトモコ先生。
本作で推したい女子は、同時収録作「Re:hello」登場の夏実。初恋が母の弟(叔父)という衝撃的な告白から物語が始まるのですが、想像以上に切なく苦しい話でした。恋した相手がゲイだと知ってから恋愛に興味を持てなくなった夏実。叔父の家へ頻繁に出入りする中で、彼がずっと「誰か」を待っていることに気付きます。母との会話、叔父の何気ない一言、そしてうっかり見てしまった叔父の携帯電話の未送信フォルダ。夏実は、叔父が抱える「ゲイであるが故の苦しみ」と「見えない誰かを待ち続ける苦しみ」に触れて心を痛めるのです。会いたい、話したい・・・・・・声に出してしまえば簡単な言葉を、今はもういない相手に送るか否かで揺れ動いている様子がメールの文面から痛いほど伝わってきました。そして何より「自分が女だったら」と吐露する回想シーン・・・・・・短編だからこそ1コマ1コマに心臓を抉られること必至です。
叔父に恋した彼女が、叔父の恋を想って涙を流す。ヤマシタ先生らしい哲学的な要素をひしひしと感じられる一作でした。
いかがでしたでしょうか。8作品を通して「これは!」という女子キャラは見つかりましたか? 当て馬ポジの女子も存在しましたが、彼女たちの心境を思うと、やるせない部分があることも事実。BLにおける女子はある意味不遇でもあったりするんですよね・・・・・・。意識していないだけで意外と女子キャラが登場する作品はほかにもあるはず! 皆さまのオススメも教えてくださいね!