突然ですが、あなたは「美人受け」といえばどんな作品を思い浮かべますか?
ヨネダコウ先生『どうしても触れたくない』の嶋くんや、宝井理人先生『テンカウント』の城谷さんなど…。
今回は、今パッとキャラクターが思いついた方も、そうでなかった方にもぜひ読んで頂きたい「美人受けBL」を紹介していきたいと思います。
そもそも美人受けとは?
定義は単純で、容姿が美しい受けのことです。しかし、ひとえに美人と言ってもその種類は様々。
「容姿のイメージそのままな儚げ美人」や「見た目からは想像もつかないくらいギャグセンスが高い美人」、「華奢なのに喧嘩が強いイケメン系美人」をはじめ、近年急増している女装男子や男の娘が登場する作品など、無限の可能性を秘めた受け属性です。
ただ「顔がいい」だけでなく、なにか心に残る萌え要素が備わったキャラクターが多いところも特徴。
思い返してみるとお気に入りの作品の受けが「美人受け」に当てはまっている、という方も多いのではないでしょうか。
BLファンから不動の人気を誇る「美人受け」作品。今回はそのなかからスタッ腐が、今特にオススメしたいタイトル8作品を厳選いたしました!
赤いヒールが似合う、健気な美人社長
すごい作品を発見してしまった…! 表紙の、赤いヒールを履き妖艶にほほ笑む男性の目力に惹かれ表紙買いした本作。「昼は気丈な社長 夜は淫らな娼婦」というキャッチフレーズからダウナー系を想像しましたが、その予想はいい意味で裏切られました。たしかにディープな世界観でしたが、後味が悪い作品ではない(あくまで個人の感想ですが…)のでもっと多くのBLファンに読んでいただきたい作品です。
女性靴ブランドの社長かつ広告塔のユーリは、愛しい側近のデザインした靴を広めるため様々な権力者に娼婦のように抱かれ続けます。酷い目に遭わされることもしばしば。精神的にもかなり参ってしまっています。そんな彼の姿をいつも無表情で見つめるアダム。「誰のためにユーリがこんな目にあってるか、分かっとるんか…」と冒頭不安になりましたが、作品の中盤あたりから彼なりに理由があってのことだとわかり、二人の絆をやっと感じとることができました 。また、権力者だけでなくスキャンダルを狙うパパラッチをも落とす魔性をもつユーリが、アダムの前でだけは性別や年齢相応に振る舞うギャップもかわいらしいです。美人受けが特別な相手にだけみせる「無防備な姿」の破壊力、しかと目に焼き付けてください!
ビジネスでもプライベートでも二人でひとつのような関係性に、あなたも悶えるはず。必読の一冊です♪
文武両道なイケメン美人受けが超年下の「番」に発情してしまう♡
えっ子供? しかも攻めが!? 私ショタは苦手なんだよね…と思ったそこのあなたにこそおすすめしたい1冊! 一途で純粋な読了後ほっこりした気持ちになれる運命の恋BL♡です。
結論から言ってしまうと子供とのHはないので安心してお読みください! いままでたくさんのオメガバース作品を読んできましたが、「運命の番」(アルファとオメガのみに存在する出会った瞬間惹かれ合う存在)が子供だった!といった、出会いが早すぎる作品ははじめてで、終始わくわくしながら読みすすめました。
普段は全生徒の憧れの的である、文武両道で正義感が強いイケメン生徒会長・千夏。
一見スパダリのような彼が超年下の「番」・はるか相手に、家に遊びに行っただけで発情してしまい逃げるように帰ったり、ハグされただけでパンツどころかズボンまでヌルヌルに濡らしてしまい戸惑う様子は猛烈に美しい、かつ色っぽい! また、はるかと過ごしていくうちに最初は王道イケメンだった千夏の顔が、だんだんと美人なお兄さんにみえてくるのが不思議です。彼のフェロモンは読者にも効果があるのかもしれません(笑) 「発情」でイケメン生徒会長が美人受けに大変身♡
「美人受け」は天性のものだけでなく、攻めの力で開花するパターンもあるんですね。
「運命の番」を前にすると、こんなにも常識や理性、矜持も意味をなくしてしまうものなのかと改めてオメガバースの強力さを思い知った作品でした。
出会いが早すぎたふたりの恋路、ぜひチェックしてみてください♪
バリバリの関西弁が楽しい女房系美人受け♡
テンポのいい関西弁が気持ちいい♪ ラブラブバカップルの山あり谷ありな暮らしを堪能できる名作。いわゆる美しい・かわいい! だけにとどまらない楽しい美人受け作品が読みたい方にオススメしたい作品です。
受けの花は、普段は女装をして「おとこの娘チアくらぶ」で働くキュートで色っぽい男性。しかし家ではメイクやウィッグを外し、飾らない姿で恋人のいっくんとラブラブ同棲を送っています。まさに王道美人受け! な容姿をしているのに、チャキチャキの関西弁でときにオカン、ときにエッチでかわいらしくなる彼のギャップは唯一無二。まさしく100点満点の奥さん系受けキャラだと思います(笑)
「地味めな大学生・いっくん×かわいい女装男子・花のカップル」とだけ聞くと一見、地味めな大学生攻めのほうがべた惚れなのかなとイメージする方も多いと思いますが、実は花のほうが尽くしたがり屋さん! いっくんのために料理を勉強してお弁当を作ったり、似合いそうな洋服をプレゼントしたりとあの手この手をつかって恋人を喜ばそうとする姿にキュンとします♡ もちろんいっくんの方も花を溺愛しており、作中ではえげつないムッツリスケベ攻めも楽しむことができますよ!
『花にくちづけ』の続編である本作ですが、前作未読の方も問題なく楽しめる一冊。ぜひテンションを上げたいときにお読みください♪
「いちばん」になりたい不憫な美人AV男優受け
ドラマ化が話題の『ポルノグラファー』作者・丸木戸マキ先生のBL作品。女性向けAV男優のバディの恋愛という近年ならではの設定、そして丸木戸先生のポップ&シリアスな魅力両方が詰まった名作です。個人的な話で恐縮ですが、今年読んだBLのなかでかなりお気に入りの1冊でもあります。「明るく振る舞っているけど暗い過去を抱えた儚い美人受け」がお好きな方にぜひ読んで頂きたい!
バディを始めたあとしばらくは仕事上の付き合いだけだった二人。しかし光のストーカー事件を筆頭に様々なトラブルと共に向き合う中でプライベートでも仲良くなっていきます。仕事では散々エッチしまくっているのに、休日は一緒に釣りやパンケーキを食べに行くなど普通の友人同士の遊びを満喫する彼らにほっこり。
物語後半にかけて明かされる光の重たい過去のお話は切なく、かなり衝撃的でしたが引くことなくどんと構えて立ち向かう仁の頼もしさに光だけでなく全読者がメロメロになったのではないでしょうか。不憫な美人受けと社会経験豊富な攻め、まさにベストカップルです。
世間一般の恋愛とは順番が逆ですが、どっぷり体を知ってから心を繋げていく純粋で優しい恋愛も素敵だな、と思わされました。
何はともあれ、とにかく仁×光のAVを見てみたい!と思ってしまうこと間違いなしな1冊。シチュエーションも青姦や先生×生徒モノ、ときには新人男優を加えた3Pまであります♡ 豊富なラインナップ、是非一度お目にかかりたいものです。
美人な先輩の生活感に興奮せよ! ノンケ同士の手探りな恋
今回のラインナップのなかで一番リアルに存在しそうなカップルが登場する本作。
憧れの先輩の部屋が少し汚部屋気味だったことから毎週一緒に部屋の片づけをしたり、新しい収納家具を選びに行ったりするうちに徐々にお互いの大切さに気付いていく二人。
美人で仕事もできるけどどこか抜けている本名と、オカン気質の邑上。相性ピッタリなふたりだからこそノンケ同士でも自然と距離を縮められたのかもしれません。
また巻末の「性交渉のためのミーティング」は必見! お互い同性とのHは初めてのため、何度も話し合いしっかりと愛し合い方を決めた上で最終的にはじゃんけんで決めることになる所も愛しいです(笑)こういったリアルな部分はBL作品ではなかなか見られないシーンですよね♪ 今回は本名が受け側に回りましたが、次回以降もじゃんけんの結果によってはリバになる可能性も…? 妄想が膨らみます。
ベスト「仕事はできるのに生活能力は低めな美人受け」作品。攻めに「この人のお世話をしたい!」と思わせるほどの独特な魔性をチェックしてみてください☆ 夢々しいBLにマンネリ気味の方におすすめしたい1冊です。
自分だけのオトコを手に入れた、保母さん系美人受け!
カフェに入るなり「腹にたまるものをくれ」「なんでもいいから早くしろ」なんて言い出す男を、おそらく多くの人は敬遠するでしょう。しかし店員の円谷はあまり気にしないどころか、2回目の来店時は「中身が子供と分かればかわいいもんですよ」とむしろ好印象を抱いています。この後もちょっと常識では考えられないようなことを要求する傲慢な男・辰巳ですが、彼に悪気はなく単に人との接し方がわからないだけと分かると、円谷は徐々にお世話&教育をするようになります…。
第三者からすると考えられない関係の深め方ですが、二人にとって相手は、互いの足りない部分を補い合える存在なのかな、と思いました。円谷は誰にでも平等に接し、これまでの人生何も夢中になることはありませんでした。しかし「きっと誰も知らない この鎧の下のやわらかい内側を」というモノローグから、辰巳にはかなり執着している様子が読み取れます。傲慢だけど芯は素直な男が自分だけに懐くのはお世話好きな受けにとってはたまらなく満たされることなのかもしれません。初めて自分から逃げない男を見つけた辰巳と、初めて夢中になれる存在を見つけた円谷。ようやく出会えた二人の幸せをほっこり願える、穏やかな作品です。容姿はもちろん、心まで美しい受けの柔らかな愛に溺れる一冊。優しい気持ちになりたいときにオススメです!
花しか食べない美人受けのお味はいかに?
庭園のある執事付きの豪華な洋館に住む蜂須川。その美しい容姿に、これぞ王道の美人金髪受けだ! と思うこと間違いないでしょう。しかも花しか食べない種族「花喰らふ者」の最後のひとりだというから、さらに高貴さUP。花びらを口に運ぶ様子の艶やかさたるや! そんな王子様のような彼も一人の大人のオトコ。初恋の相手であり薔薇研究者の葛ノ葉に出資をし、自身の近くで研究するよう提案します。話していく中で葛ノ葉の初恋の相手も自分だと知ると、一緒のベッドやお風呂に入り込んだりと慎ましくも大胆なアプローチを開始! 美人が発揮する行動力はすさまじいです。また花しか食べない蜂須川からは頭がクラクラするほどの甘い薔薇の香りがするようで…♡
ビリー・バリバリー先生の美しい絵柄に惚れ惚れする1冊。研究者×高貴美人受けの薔薇に囲まれた物語は必見です!
愛される方が似合う先輩美人受け
甘酸っぱさよりもどうしようもない切なさが押し寄せる思春期BL。
恋の自覚もないまま失恋してしまった巴と、好きな人がずっと自分の兄に片思いしていたことを知った賢次。
「言葉遣いも服装ももっと似せるようにします――だから僕…俺、兄ちゃんの代わりになれませんか。」
こんなにも悲しい愛の告白を中学生がしたと考えるだけで胸が押しつぶされそう…というか押しつぶされました。誰かの代わりではなく自分自身を愛してほしいというあたりまえの感情を押し殺せるほどの愛。本当に中学生×高校生の恋愛か? と思うほど考えさせられる要素が満載の奥深い一冊です。
受けも攻めも、両方が恋の痛みを知っているカップルは互いを思いやることの重要さをよく解かっているはず。巴と賢次、誰よりも幸せになってほしい…!!
“何気ない『彼が眼鏡を外すとき』が腐女子の親心に火をつけた。”1冊。
また、仕草や表情が切なくも色っぽい、巴の「健気アニキ美人受け」にも注目です。守ってあげたくなる透明感は美人受けの醍醐味ですよね。
さわやかな読了感ですが、すっと通り過ぎることなく心にいつまでも残り続け、ふとした時に思い出す、そんな作品だと思います。ぜひ。
全8作品の美人受けBL作品を紹介させていただきました。気になる作品はみつかりましたでしょうか?
今回の記事を通して美人受けは攻めよりもしっかり者が多いことに気が付きました。攻めに寵愛される受けも最高ですが、自立して共に歩んでいける受けも頼もしくて素敵ですよね。
時代と共に様々に変化していくBLキャラクターたちから今後も目が離せません! 腐女子ってほんと楽しいな~☆