平成も終わろうとしている2018年、アニメ業界にある異変が!? 90年代ブロマンスの名作を始め、懐かしい作品が次々とアニメ化されていくではありませんか! その年代の作品の中には男同士の強すぎる結びつきや絆にスポットを当てて描いたものも多く、まるでイケナイ本を隠れて読んでいるかのような気持ちでそういった作品を読んでいた方も多いのではないでしょうか。
時代に逆行するかのように昔懐かしい作品が地上波で放送されている今、90年代の気分が蘇ってきた! といういわゆる「古の腐女子」も多いハズ。今回はそんな貴女にもう一度読み返していただきたい8作品をご紹介していきます。
あの頃はボーイズラブというジャンルの枠組みがはっきりしていなかったので、ハッピーエンドじゃない作品、全然関係が進まないもどかしい作品がたくさんありましたね。笑
枠にハマらなくていい分、作家さんが自分の気持ちを思い切り原稿にぶつけることができたのではないかと思います。改めて読んでみると、90年代独特の雰囲気が今は逆に新鮮! そして完成度の高さにびっくりしています。
リアルタイムでそういった作品を読んでいない世代も、ぜひこれを機に90年代ボーイズラブの荒ぶる魂に触れてください。そしてまだ「ボーイズラブ」という言葉が出来る前の作品に興味を持った方にもオススメです!
主従、執事、眼鏡好きに激推し! よしながふみ伝説の名作
よしながふみ先生の伝説の名作。
近年大人気の『きのう何食べた?』のほんわかした色気とは違い、本作ではよしなが先生の描くエロスを存分に味わうことができます。
舞台は革命期の18世紀フランス。わがままで美しい貴族のアントワーヌと、辛口だけれど忠実な執事のクロードの身分を越えて密やかに愛し合う日々が描かれています。主従関係であるがゆえに執事として愛し方を徹底するクロードと、自由奔放を振る舞ってなんとか執事の気を引こうとするアントワーヌの関係がかなり切ない……。しかし互いの気持ちが通じ合うにつれてふたりの間に流れる空気が段々と熱を帯びていって……?
普段はきちっと着込んだ執事服をはだけさせゆっくりと眼鏡をはずすクロードと、美しい肢体をくねらせ快感を素直に表すアントワーヌの情事は何度読んでもうっとりしてしまいます♡ 個人的にはクロードがつま先から脚を通りアントワーヌ自身をなめ上げるシーンにぐっときました!!
主従関係、執事、わがまま坊ちゃま、眼鏡。これらの単語に縁を感じた方、オススメです!
<あらすじ>
革命期の18世紀フランス。わがままで美しい貴族のアントワーヌと辛口だけれど忠実な執事のクロードは、身分を越えて密やかに愛し合う──。よしながふみ伝説の名作が登場!!
今では見られない90年代三角関係展開が逆に新鮮
男子高校生たちのイチャイチャっぷりに心が癒される一冊。三角関係ものですが、主人公・馬場くんに恋する攻のふたりが仲良しなので、ピリピリも最低限。終始楽しく読み進められますよ~! また、どちらかを選べないでいるうちに3P……な展開になることなく、付き合う相手をきちんとひとりに決めるところに好感をもちました。2000年代に入ってからはこうした三角関係ってボーイズラブでほとんど描かれていないと思いますので、この作品は貴重です……!
特に萌えたシーンは、いちごの香り付きリップで間接キスするところ♡THE高校生らしいアイテムに圧倒的感謝です…… 今回紹介したコンプリート版には当時連載していた作品に加え、現在の門地先生の絵柄でキャラクターたちがよみがえる書き下ろしも収録されています。さらに3人の恋模様を堪能できるようになった本作、要チェックです♪
<あらすじ>
元気一杯の高校生・馬場くんは可愛い顔に似合わず、やっぱりHしたいお年頃。…が、それが災いして、気付けば男子寮で謹慎するハメに…!? 同室になったクールビューティの不思議キャラ・三木と、その大親友のモテキャラ・黒沢とに挟まれた、とんでもなくスリリングで三角関係な寮生活がスタートして…!? 等身大の高校生を描いた大人気「ジャジャ馬ならし」シリーズ、コンプリート本が遂に登場!!
リーマン×ケンカップル×三角関係=最強
いつの時代も腐女子が心を奪われて仕方のないもの……。そう、サラリーマン!! 90年代の BL作家さんでリーマンものと言えば、やはり山田ユギ先生は外せません!!
三角関係と聞くと、どうしても昼ドラ的なドロドロさを連想しがちですが、本作はコミカルかつハートフル! 美人なのに男らしい永井、強引と見せかけて実は寛容な本田、母性をくすぐる可愛さの斉藤という魅力的な3人が織りなす恋物語は、たっぷりの愛と程よいギャグシーン、重すぎず軽すぎない葛藤で構成され、実にバランスのとれた展開となっています。気になるHシーンも色気に溢れており、控えめに言って最高♡玄関でのヌキ合い、たこ焼きプレイ(!?)ほか、皆さんの性癖にギュンギュン刺さる描写がきっと見つかるはずです! また、昔の携帯電話やセリフ回しなど古の腐女子には懐かしい描写&表現の数々にも注目して頂きたいところ。若い皆さんはある意味新鮮さを感じるかもしれません!
ふたりの男の間で揺れ動く主人公がどのような決断を下すのか、ニヤニヤきゅんきゅんしながらお読みくださいね♪
<あらすじ>
飲んでこの痛みを忘れたい! 特別にかわいい後輩・斉藤が結婚し荒れる永井は、その夜、本田と飲み狂いうっかりホテルへ。「なぐさめセット」と称したキスに流されちゃって…。苦悩する永井に、今度はヨメに逃げられたと斉藤が泣いてすがってきて…。どうなる3人の恋バトル!! 大人気作品が新装版で登場!
心が轢死寸前! 水城せとなの初期作品
続いてご紹介するのは、BLファンの間では『窮鼠はチーズの夢を見る』でお馴染み、水城せとな先生の初期作品! 本作の魅力は、ハッとさせられる台詞やモノローグが多いところ。「俺と一緒にいた間、何回俺のことを考えた? ――俺と離れてから、何回俺のことを考えた?」という言葉がとても心に残っています。こんなに風に想える相手に出会えたなんてとても素敵ですよね!
ところで雑誌で連載されていた当時、個人的にはこのラストはふたりにとってベストだったのか、かなり悩み考えました。同じような経験をされた方も多いのではないでしょうか? 何回読み返しても答えが出せずにいますが、心に深く刻まれる作品であることは間違いありません。皆さまもぜひ当作を読んでふたりの結末に思いを馳せてみてください。
初期の頃から水城先生の描く物語は人の心について深く掘り下げたものが多く、読んでいて萌えだけでなく様々なことを考えさせられます。『同棲愛』『スリィピングビューティ』もオススメですよ~!
<あらすじ>
円慈と極は音大生。高校生の頃から秘かに付き合っていたが、社交的な極に比べて地味な円慈は常に彼の言いなりだった。そんな危ういバランスを抱えた彼らの前に、天才ヴァイオリニストの桐原が現れて―――。
BL史上に残る感動の名作 読み返してまた涙
シリアス展開、リバ設定がお好きな方に推していきたいのが本作。「ボーイズラブ史上に残る感動の名作」と名高い作品です! シリーズものとして8年にわたり続いた本作では、出会いから共に生きていく覚悟をするまでの過程が丁寧に、そして非常にリアルに描かれています。虐待、近親相姦、家族の死、PTSD、ドラック、リバ……かなり重たい内容ですが、ここまで赤裸々にふたりの事情を知ってしまうと、自分は彼らの友人で両方から相談される立場にあったのではないか? という不思議な気分に陥ります。もちろんそんなワケはないのですが……笑
終盤、英がヒマラヤに挑戦するシーンは何度読んでも目頭が熱くなりました。
数々のトラウマを乗り越えてふたりで幸せを探し出す様子はBLというよりヒューマンドラマに近いかもしれません。萌えだけでなく人生について考えさせられます。何年経っても色あせることのない名作、ぜひ今一度読んでみてくださいね。
<あらすじ>
佐伯徹は写真のモデルを引き受ける代わりに、喜瀬川英に食事とカラダを要求する。遊びの関係だったはずが、どんどん深みにはまっていくふたり。だが、喜瀬川には心の傷が。彼はかつて実の叔父である聖と肉体関係にあったのだ――…。表題シリーズ九篇を収録した、ボーイズ・ラブ史上に残る感動の名作、喜瀬川と佐伯のリアル・ラブ・グラフティ開幕!!
四半世紀時代を先取り!? 衝撃すぎるスクールカーストBL
初めて読んだ時の衝撃たるや……!!!なかなか言葉では言い表せないものがありますが、痛い・苦しい・ツラいというマイナスの感情が押し寄せるにも関わらず、ページをめくる手を止められない……。そんな中毒性の高い一作です!!
「男はみんなマザコンだ。母(ママ)になりな、リカ」
初見のときはよくわからなかったこのモノローグ。しかし、何回も読み返していくうちにリカちゃんに“ママみ”を感じるようになるのが本作の不思議な所なんですよね……。
一度読んだら個性的かつミステリアスなキャラクターたちのことをもっと知りたくなること間違いなし! BLというジャンルがまだ未完成の時代だからこそ生まれた奇跡の作品です。もっと多くの方に知ってもらいたいっ! 未読の方は、ぜひこの機会に『飼育係・リカ』ワールドに足を踏み入れてみましょう~!本当にスゴイので騙されたと思って読んでみてください!!
<あらすじ>
学園の憧れの君・リカ様と男子寮で同室になった夏目ヒロは、生徒達のジェラシーの的。そんな彼を、学園のトップエリート集団「サロン」の私刑が容赦なく襲う!! 暴力的SEXが横行する弱肉強食の男子校で、ヒロの貞操は!? 本仁戻が満身の力を込めて贈る意欲作!!
少年のギラギラ、脆さ、儚さがすべて濃縮されてる
タイトルに“エモさ”を感じた方、必読です!
「人の心の中には水の入ったプールがあって、ちょっとした拍子にあふれてしまう…」
感情のキャパシティをプールに例え、大人でも子どもでもない多感な青春期の感情の起伏を表現したこの言葉が素晴らしい! 作中でも、入谷と木津をはじめと男子高校生たちの不安定な感情が繊細に表現されています。個人的に萌えたのは、ふたりが初めて教室で言葉を交わすシーン。出会ったばかりの入谷の腕にかみつき歯型をつけるという「絶対に逃がさない」感あふれる木津の行動、視線がエロティックでたまりません。
そして、本作を読むにあたり特に注目していただきたいのが、キャラクターたちの成長っぷり。1巻では無駄に尖っていたり、幼かったキャラたちが各々の壁を乗り越え、より色気を増した大人の男になってゆく過程をじっくりと楽しむことができます。
心とカラダが少年から大人になっていく貴重な季節。ぜひ目に焼き付けてください!
<あらすじ>
“俺の体の奥には、今にもあふれそうなほど波立っているプールがある――…。”中学時代に失った自分自身を取り戻す為、わざと三流男子校に進学した入谷は、ある日一筋縄ではいかないタイプの男、木津に目をつけられ…!?
あぁ もどかしい… 忘れていたこの気持ちが新鮮すぎる
刑事バディものだと思って読んでいたら、ディーがリョウにキス!? 「えっ?」と不意打ちされた方も多いのでは?
主人公は、N.Y.27分署のクールな問題刑事・ディーと、新しく配属された穏やかな日系人刑事・リョウ。
このコンビが事件を解決しつつ愛も育んでいく物語なのですが、少年漫画のようなアクションとシリアスになりすぎないギャグ要素、このバランスが最高でして! どちらかというと恋愛よりも事件の方に重きを置いているため、刑事ものが好きで愛読していた人が本作をきっかけにBL沼に、という話もよく聞きます。
現代のBLと比べると恋愛要素は控えめですが、ラブストーリーとしても読みごたえ充分。ストレートに口説く割に、リョウの気持ちが固まるまでその先に進まないという紳士なディーが推せる……! また、連載当時はもどかしさが先行しましたが、今読み返すとディーの男らしさや彼がリョウをいかに大切に思っているかが伝わってきます。これでときめかずにいられるか……!
刑事ドラマとBL、一作で二度おいしい名作、ぜひ体感してみてください♪
(C)真東砂波/libre
<あらすじ>
NY市警27分署捜査一課に配属されたリョウは、ディーとコンビを組むことになった。「リョウって呼ぶよ」最初から妙に慣れなれしくて、破天荒なディーに翻弄されていたリョウだったが、麻薬がらみの殺人捜査にあたるうち、次第に気持ちごとディーのぺースに巻き込まれてしまい…!?