いしいしんじの小説「トリツカレ男」がミュージカルアニメーションとして映画化され、今秋に公開される。特報映像とティザービジュアルも到着した。
2001年に初版が刊行され、2006年に新潮社から文庫化された「トリツカレ男」。主人公の青年・ジュゼッペは、ひとたび何かに夢中になるとほかのことが目に入らなくなってしまうことから、街の人たちに「トリツカレ男」と呼ばれている。そんな彼はある日、風船売りの少女・ペチカに一目惚れ。またも夢中になり、ペチカと距離を縮めようとするジュゼッペだったが、彼女は心に悲しみを抱えていて……。ジュゼッペは大好きなペチカのため、相棒のネズミ・シエロとともに、彼女が抱える心配ごとを、これまでとりつかれた数々の技を使ってこっそり解決していく。
監督は映画「クレヨンしんちゃん ガチンコ! 逆襲のロボとーちゃん」の高橋渉。脚本はドラマ「腐女子、うっかりゲイに告(コク)る。」や映画「サマーフィルムにのって」の三浦直之が担当する。キャラクターデザインは荒川眞嗣、アニメーション制作はシンエイ動画。高橋監督と原作のいしいからはそれぞれコメントも寄せられた。
キャストはまだ発表されていないが、特報映像にはジュゼッペの歌唱シーンを収録。ティザービジュアルには、ジュゼッペとペチカの出会いのシーンが描かれた。
いしいしんじ(原作)コメント
浅草のせまい一室で、誰にも知られず書き連ねたことばのかたまりが、色を、かたちを、音を、動きを与えられ、こうして世に出てゆく。絵コンテ、アフレコなどの制作過程を途中で覗かせてもらい、スタッフの方々のトリツカレぶりに深く感銘をうけた。動かないはずのものに、みな一心に、あらたな命を吹きこんでいた。アニメ愛をつづった手塚治虫の漫画「フィルムは生きている」のタイトルを借りるなら、まさしく「ものがたりは生きている」と思った。
高橋渉(監督)コメント
エンターテイメントをやりましょう!とプロデューサーから原作小説を渡されてはや4年が過ぎました。
その間、世の中は悲しく、つらい出来事がたくさん起こり、今も続いています。
この映画は奇妙な男ジュゼッペと風船売りのペチカの愛の物語です。
誰かが誰かを想い、助けることは素晴らしいことだと大きくうたう映画です。
個性あふれるスタッフ、キャストの力で作り上げることができました。
こんなにもまっすぐなお話を皆様にお届けできることを嬉しくおもいます。
※高橋渉の高ははしご高が正式表記。
(c)2001 いしいしんじ/新潮社 (c)2025 映画「トリツカレ男」製作委員会
(コミックナタリー)