呪い1:共働きでも女が家事をして当然だ?
最近では夫婦共働きの家庭も一般的になってきましたね。女性の社会的な役割も高くなり、もはや「結婚して専業主婦になりたい」なんて願いの方が少数派になってきたような印象も受けます。
でも、そうなると新たな問題が現れるわけです。多くの人が見て見ぬふりをしている(もしくは無意識のうちに根付いている)固定概念、「家事は女性がやるもの」という呪いです。女性が仕事も家事もやるって、冷静に考えたらおかしいですよね。
この作品の話題を呼んだ特徴のひとつに“契約結婚”という設定があります。普通の少女漫画だったら、友達やライバルといった関係からお互いに意識をし合い、様々な過程を乗り越えて、見事ゴールイン、という流れが一般的。でも、この作品は、まず結婚してしまうわけです。お互いのメリットのために、仕事として。
その設定自体に「斬新〜!」と思いますよね。ああ、その手があったか、なんて私も思っちゃいました。でもこの作品はそれだけじゃ終わりません。あくまで仕事として結婚したからこそうまくいく、業務の割り振り。すごいですよね、「主婦は無給で家事をするのが当然」といった社会で、主人公のみくりは賃金をもらいながら、平日のみフルタイムで家事をするわけです。
男女平等ばかりが叫ばれても、「女性は料理上手であるべきだ」とか「掃除ができない女性は失格だ」みたいな呪いが続く限り、女性の負担は大きくなっていくばかり。何より、夫婦の仲を良好に継続していく上でも、こういったモヤモヤはきちんと解消していくべきなんですよね……。
「愛情があったら家事をするのは当たり前なんだ」なんて考えて苦しくなっている女性も多いのでは? 仕事という形で結婚を捉えて、夫婦で冷静に話し合う。一人で抱え込んでいる人には、新しい結婚生活の形を見せてくれる作品でもあるんです。もちろん、全てがうまくいくわけではありません。でも、何かうまくいかないと会議の中できちんと修正していく二人の姿は、夫婦であり頼れるパートナーであり、なんだか素敵に映るんですよね。
★「逃げるは恥だが役に立つ」9巻に掲載