容姿端麗、高身長、高収入、高学歴。いつの時代も、「理想の男性」に求められる要素は普遍的です。そんな要素をギュッと詰め込んだ存在が「スパダリ」。一言でスパダリと言っても、多様化が進み、現在ではバリエーションがより豊かになっています。 今回紹介するスパダリが活躍する漫画20作品の中に、きっとあなたの理想のダーリンがいるはず。BLで主人公とダーリンが美しく絡む姿を愛でるもよし、TLでヒロインになりきってダーリンに優しく激しく包みこまれるもよし。思う存分堪能してください。
目次
「スパダリ」とは「スーパーダーリン」の略で、広くは漫画やアニメにおける理想的な男性キャラクターを指す用語です。主には外見が格好良く、性格も優れており、能力も高いハイスペックな男性像を表します。
新時代のスパダリ作品にはひねくれた主人公が多く、一筋縄では心と体を開きません。そこでスパダリは献身的に主人公に尽くし、凍り付いた主人公の心をじっくりと溶かしていきます。スパダリの優しさに触れるBL10作品です。
・ シュークリーム
【あらすじ】作者の咲本﨑はこれが初めての単行本作品です。非情な世界の中でたった一つの奇跡の出会いを描きます。株式会社シュークリームの『from RED』より2021年から配信され、2024年6月時点で全5巻が配信されています。
【作品情報】αのエリート高校から転校してきた一条晴斗は、生徒会長の北原雅（みやび）に校舎を案内してもらう最中、雅の嘔吐する姿を目撃します。その後、テストで学年トップの成績をとった晴斗に雅は敵意をむき出しにします。かぼそくて青白い雅の姿が気になった晴斗は雅のアパートを訪ねることに。カースト最下層のωとして生まれた雅は、実の親からも見放されセルフネグレクト状態でした。雅を放っておけない晴斗は、慣れないながらも家事を覚えて雅の世話をするように……。最初は頑なだった雅の気持ちがほぐれ、晴斗との距離も縮まっていきます。
【おすすめするポイント】一見、αのスーパーエリートかつ絶世の美貌で冷たい印象を与える晴斗が、不器用ながらも献身的に雅を支える姿のギャップに痺れます。晴斗と触れ合ううちに雅の心の傷が癒され、二人で求め合うラブシーンは神々しくもあり美しくもあり、いつまでも見ていたくなる名場面です。厳しい階級社会のディストピアで、晴斗と雅の関係だけは温かく幸せな空間です。
・ 竹書房
【あらすじ】作者は『幼なじみとアレするまでの24時間』『新婚さん！』『まほろばデイズ』など、さまざまなシチュエーションで男性同士の恋愛や結婚を描くちしゃの実です。竹書房のBLコミックレーベル『Qpa』より2018年から配信され、2023年6月時点で4巻まで配信中です。
【作品情報】大手メーカーの開発職であるエリート・蕪木真白（かぶらぎましろ）と工学部博士課程の茄子川紫（なすかわゆかり）は大学の同級生で、ルームシェアをして3年になります。しかし、大家から「男性同士のルームシェアお断り」の通達が来たため、カムフラージュで同性婚をします。ところが、紫は結婚した途端に、真白にときめいてしまいます。二人ともムラムラしているタイミングで「相互オナニー」としてお互いの体を慰め合っているうちに本気になっていき、ついに一線を超えてしまいます。
【おすすめするポイント】ドラマや漫画でありがちな「偽装結婚をしてみたら、次第に恋心が目覚めて本当に結婚する」というパターンのBLバージョンです。肉体関係になっても本気の恋とは思えず、紫は真白の周辺にある女性の影を知り、真白は紫が本気で自分と向き合っているのか、お互いに疑心暗鬼になります。偽装婚は本当の恋になるのか、結末が気になります。
・ 一迅社
【あらすじ】作者は『待ち狐と人の子』では妖狐と人間、『きぐるみくん』では着ぐるみを着た謎の男と大学生、『金髪お坊ちゃまと日本人執事』ではお坊ちゃまと執事など、ギャップのある関係性のBLドラマに定評のあるん村。一迅社のボーイズラブレーベル『gateauコミックス』より2020年から配信され、2023年7月時点で3巻まで発売中です。2021年からは連載版も配信されています。
【作品情報】主人公のごく平凡な能力のサラリーマン・橋元は、長身イケメンで仕事もできる上司・白瀬から何度もダメだしをくらい、疲弊していました。仕事のストレスをネットでゲームで発散し、ゲーム仲間であるハンドルネーム「UMA」さんにチャットで愚痴をこぼす日々です。UMAさんに白瀬の愚痴を言うたびに、なぜか白瀬の態度が軟化し、仕事もスムーズに行くようになります。やがて、オフラインでUMAさんに会うと、上司・白瀬その人だったのです。そこから二人の関係は徐々に深まっていきます。
【おすすめするポイント】いきなりハードな絡みはないため、ハードなBLが好みな方はご遠慮ください。険悪な関係だったハイスペック上司と凡人部下が、徐々に距離を縮めて恋人関係になっていく様子が丁寧に描かれています。二人の関係に絡んでいくイケメン高校生で会社役員「塩鮭」も絡んで、二人の恋はゆっくり深まっていきます。
・ 大洋図書
【あらすじ】作者は『孤独な猫は夜明けに眠る』『俺が好きなら媚びてみろ』『孤独な猫は夜明けに眠る』の里つばめ。本作は人気シリーズ『GAPS』のスピンオフ作品です。大洋出版『HertZ＆CRAFT』より2017年から配信され、2023年11時点で4巻まで配信中。
【作品情報】丸の内警察署生活安全課の刑事・矢島千紘（ちひろ）は、斎藤誉（ほまれ）課長からフリーのジャーナリスト・佐々木の警護を任されます。政治家の愛人問題をスクープした佐々木の命を何者かが狙っており、危険な事件ばかりが起こります。イケメンで凄腕ながら高圧的な斎藤課長のセクハラを受けながら、矢島は事件の真相に迫っていきます。事件を裏から操っていたのは……。
【おすすめするポイント】今回紹介するスパダリの中でも、斎藤課長のドSぶりは飛び抜けています。矢島は斎藤課長のパワハラ・セクハラや危険な任務をくぐり抜け、文字通り体を張って仕事に取り組んでいきます。さらに、斎藤課長からセクハラを受けているうちに、いつしかそれが恋愛に変換されていきます。二人の恋の行く末も気になります。
【あらすじ】作者は『ぼくらは地獄で恋を描く』の麻生実花です。2020年からモバイルメディアリサーチのBLレーベル『caramel』より配信され、2022年9月時点で、3巻まで配信中です。同居した男子高校生に恋してしまう教師を描く禁断のラブストーリー。
【作品情報】高校教師・槇原系はゲイであることをひた隠しにして生きています。ある日、家を借りている元恋人で小説家の松田京也から、甥と同居するように頼まれます。なんと甥・大河は槇原の勤める高校の生徒会長でした。大河は槇原がゲイであることを見抜き、槇原はそのことを秘密にするという条件で、彼女とのセックスの練習の相手をすることに。大河の望みを受け入れ体を許すと、槇原は彼女のいる大河のことを好きになります。12歳も年が離れており、しかも教え子に恋をしてしまった大河は罪悪感と嫉妬で悶え苦しみます。この恋は実ることがあるのでしょうか？
【おすすめするポイント】事情があり、同居することになった教師と生徒。大河のことを好きになってしまい、いい大人なのに高校生に心を揺さぶられる系の様子が恋の繊細さや恐ろしさを教えてくれます。大河は系を弄んでいるだけなのか、それとも……。二人の恋の結末に注目です。おまけに系と京也の恋人時代のエピソードも収録されています。
【あらすじ】作者は『けものは奥まで愛されたい』『とろとろ秘湯で恋、はじまる。』『アダムとイブになれない僕ら』の南国ばなな。モバイルメディアリサーチのBL電子コミックレーベル『caramel』より2021年から配信が開始され、2023年9月時点で2巻まで配信されています。
【作品情報】仕事を無感情にテキパキとこなす真岡は、同僚からは「ロボット」呼ばれています。 ある日、真岡は道ばたで鞄の荷物を落としたおばあさんを助けた御礼に「惚れ薬」を貰います。真岡は唯一の息抜きの場所である珈琲店のマスター・牡丹に惚れ薬を飲ませます。薬の効果でいつもはソフトな牡丹が大胆に変身、真岡は牡丹に抱かれてしまいます。その後、牡丹は真岡を抱かないと性欲が収まらない体になっていました。惚れ薬を飲ませた責任を感じる真岡は、牡丹の求めるままに体を預けます。
【おすすめするポイント】珈琲店のマスターでいるときの牡丹は、あくまでもソフトでふわふわなのに、真岡を抱くとなると逞しくてむわむわになるというギャップが魅力です。真岡も牡丹と付き合っていくうちにロボットっぽさが消え、人間的な部分が成長して変化していく様子にも注目です。
・ リブレ
【あらすじ】作者は『冷めない微熱で とかして みたして』『うそぶく狐は花を咬む』『極彩色には毒がある』のあやみね稜緒で、本作が長編デビュー作。2021年からリブレのレーベル『ビーボーイオメガバースコミックス』で配信され、2024年3月時点で4巻まで発売されている人気沸騰中のオメガバース漫画です。
【作品情報】人には男女とは別にα、β、ωという3つの性別が存在し、αを頂点とするカーストが存在するオメガバースの物語。双子の兄弟・東ヶ崎侑也と智也は弱冠19歳の大学生でありながら、日本トップの資産家の跡取りで、大企業のCEOを務めるエリート中のエリート。秘書希望として面接に来た高雛なつおは二人に一目で、妊娠する男性でカースト最下層のωと見破られてしまいます。運命の番（つがい）として、出会ってすぐに二人に迫られ、激しく抵抗するも、秘書採用が決定。なつおは秘書として付きそううちに、二人のαとしての飛び抜けた能力に引け目を感じてしまいます。
【おすすめするポイント】ωであることを隠して、中間層のβとして生きてきたなつお。ωの発情期となり、家族からも忌み嫌れる存在となり孤独を深めます。その孤独を癒やしたのが、一見冷酷に見えた侑也と智也でした。誇り高く貞操を守っていたなつおでしたが、二人の優しさに少しずつ触れることで、侑也と智との間に絆が生まれていきます。
【あらすじ】原作は『偽モテ男に恋愛指南は荷が重い』の後之マツリで、ジュリアンパブリッシングのBLブランド『G-Lish』で2021年から配信され、全1巻で完結しています。
【作品情報】男女の性別のほかに、相手を支配したいDomと、相手に尽くし、しつけやお仕置きをされたいSubのいる世界。主人公・榛名桔平（はるなきっぺい）の第二の性はSubで、処方されている薬が効かなくなったため「早くDomのパートナーを探すように」と医者に言われています。国営のマッチングプログラムに参加して現れたのは、会社の同僚・大友颯汰でした。颯汰の言葉にすんなり従うようにすると、心地よさを感じるようになります。
【おすすめするポイント】オメガバースの関係性バージョンのような、Dom/Subユニバースを描いた一作。支配・被支配というとSMのように上下関係がはっきりしているわけではなく、まるで飼い主とペットのような関係で、プレイを通じて絆が深まっていきます。本当に相性のいいパートナーと出会えた幸せ感あふれる作品です。
・ リブレ
【あらすじ】作者は『ふわもこ浮遊伝』『生意気。完全版』『大本気。』の鹿野しうこ。リブレ『ビーボーイ』より2015年から配信され8巻まで配信中です。本作は過去作『P.B.B. プレイボーイブルース』のスピンオフであり、続編として『Punch↑＋次男上等』も配信されています。
【作品情報】型枠工の大木浩太は仕事熱心なあまり、喧嘩が絶えない熱血漢で、建築家の牧志青（もとはる）もとばっちりで怪我をしてしまいます。浩太は迷い猫と一緒に暮らすためにアパートを引き払っていましたが、その猫は牧の飼い猫だったのです。宿無しになった浩太は牧の部屋に居候することに……。牧のマンションは見た目は豪華なもののゴミ屋敷で、猫はネグレクト状態。対立しながらも同居生活が始まります。そんな折、浩太の恋人だった貴之に二人での買物現場を目撃されます。その後、貴之に殴られても、浩太は牧の元へ戻ってきます。いつしか二人には愛が芽生えていたのでした。
【おすすめするポイント】今回紹介するスパダリの中でも最も浮気性の牧。年齢も社会的ポジションも違い過ぎる男性カップルのラブストーリーです。牧の男性関係が入り乱れ過ぎて、過去の男達が次々と現れ、浩太は嫉妬にかられて心を乱されます。浩太と牧のカップルに安定の愛の日々は来るのか？ 恋の行方に目が離せません。
・ 芳文社
【あらすじ】作者は『こんなものは恋ではない』『先生、その恋 死んでます。』『恋はしたいがお前じゃない』の志々藤からりで、芳文社『花音』より2016年から配信され、全4巻で完結している青春BLストーリーです。
【作品情報】主人公・花浦湊（みなと）は性格が悪くてボッチの高校生。それが学校一のイケメンで成績優秀、性格も良い都筑一朔（つづきかずき）から「付き合ってほしい。ずっと好きだったんだ」と告白されます。何かの罰ゲームだと思った湊は疑心暗鬼で数日一朔と付き合います。罰ゲームではなく一朔の気持ちが本気だと気がついた時、湊は一朔にキスされてしまいます。驚きのあまり逃げ出した湊でしたが、その後も一朔は湊の弟求（もとむ）を通じて距離を縮めていきます。
【おすすめするポイント】友達のいないクズ男子がなぜか学校一のモテ男に求愛されまくるという夢のような展開。修学旅行や期末試験などの学校のイベントを通じてゆっくりゆっくり関係を深めていきます。一朔との触れ合いによってボッチでクズだった湊が少しずつ前向きになる姿にも注目です。
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